2017年9月11日
その生徒が塾に来たのはいつ頃だったろうか。あまりに早く塾になじんだものだから忘れてしまった。とにもかくにも3年になってからだったように思う。その生徒、仮名をYとしよう、は入ってきた当初からこう言っていた。「誰に何と言われようと俺は弥生に行きます」。4回目5回目、テストの点数は250点だった。それでも「弥生を受ける」という姿勢だけは決して崩さなかった。「受けて落ちたら高遠でもどこでもいいんです。それは諦めがつきます。けど、受けないで諦めるのは納得ができないじゃないですか」。今時珍しい意志の強い生徒だったように思う。そしてそれが口だけではなかった。宿題は言われた分必ずやってきた。こういうふうに勉強をしたらいい、というアドバイスはとても素直に聞いた。個別指導は週1回数学をやりながら、英語と理科の集団授業に毎回参加してた。どれも自分で選択しての結果だった。要領がいいというタイプではなかった。その年の受験生の中で一番点数としては危ない位置にいた。それでも、弥生を受けるという意志だけはいつになっても変わらなかった。