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古賀塾ブログ

曖昧少女3話(塾物語)

2017年6月16日

週2回塾に通うようになり、さらに部活引退後からは毎週土曜日の集団授業の理科にもR子は出席するようになった。数学も理科もとにかく課題は計算。私は集団授業の理科を担当していたが、どんなに人の少ない日でも、たった一人であっても、R子は毎回授業に出ていた。
ある日、R子は私の元へテストを持ってきた。
「ちょっと! 見て! 2桁いったよ!!」
 珍しく興奮した様子でテストを広げたR子は嬉しそうに言った。『2桁いった』それは他の生徒からしてみれば『でも十点台でしょ?』くらいのものだったかもしれない。それでもその事実はR子にとってはとても大きな第一歩だった。
 それからだ。多少がたつきはあるもののR子の点数は徐々に右肩上がりの傾向を見せ始めた。そして数学が少しずつ上がるにつれて合計点数も安定していった。
 徐々に塾にも慣れてきた様子のR子に上農へ行きたい理由を尋ねたことがある。R子は迷いなく答えた。
「上農で部活をやりたい。I先生の指導を受けたい」
 私も当時R子と同じ部活に所属していたため、I先生の名前は聞いたことがあった。というよりも実際にお世話になったこともあったほどだった。当時からその部活ではとても有名な先生だった。
「あの先生はすごいよ。一回教わっておいて損はないと思う」
 そう語るR子はとてもキラキラとしていた。
 高校を決める理由というのは人それぞれだとは思うが、『こういった理由でここに行きたいんだ!』という目的がはっきりしている生徒はやはりそれが大きな強みになるとわかった。他の学校へ気持ちが揺れる理由がないため、その高校に合格するために必要な点数に向けてがむしゃらに努力することができる。そうこうしている間に、R子の数学の点数は入塾当時の4倍に跳ね上がっていた。返ってきた模試をR子に渡すと、
「ぅわっ、数学20点越えてる! 2年生の頃以来見たことなかったのに」
 と本人が一番驚いているようだった。
 そして中学3年生にとっては最後の保護者面談の時期が近づいてきていた。
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